グリーンウォッシュとは?私たちを惑わせる実態のない「環境配慮の取り組み」|circu.(サーキュ)

2022.07.21

グリーンウォッシュとは?私たちを惑わせる実態のない「環境配慮の取り組み」

グリーンウォッシュとは?私たちを惑わせる実態のない「環境配慮の取り組み」

持続可能な開発目標の達成に向けて、近年、多くの企業が環境に配慮する取り組みを行っています。2030年までに目標達成することを目指して環境への取り組みが加速する一方、問題となっているのが「グリーンウォッシュ」です。

現在、まだ多くの人が「グリーンウォッシュ」という言葉を聞いたことがないでしょう。そこで本記事では、「グリーンウォッシュ」とは何か知りたい人に向けて、言葉の意味やどんな問題があるのか、過去の事例も交えて解説します。

今後「グリーンウォッシュ」に惑わされないよう、曖昧さを見抜く基準を知りたい人も参考にしてください。

グリーンウォッシュとは

グリーンウォッシュとは、「ごまかし」を意味する英語「whitewash」と、「環境に配慮した」という意味の英語「green」を合わせた造語です。

企業が商品やサービスに関する情報発信をする際に、あたかも環境に配慮しているかのように見せる印象操作のことをグリーンウォッシュと定義しています。

実際には、環境に配慮した取り組みを行っていません。にもかかわらず、パッケージの文言やPRなどによって「環境に優しい」「クリーンである」といったイメージを持たせ、消費者に誤解を与える行為です。

グリーンウォッシュが及ぼす問題

グリーンウォッシュは消費者や投資家を欺く行為であるという、倫理的な問題が大前提にあります。

また、虚偽、誇大表現のある情報の発信によって消費者や投資家の正しい判断を妨げます。そのため、適切な取り組みを行っている企業や、環境に対する取り組みそのものへの信頼低下にも繋がります。

さらに、環境マーケティングのエキスパートであるScot Case(スコット ケース)氏は、グリーンウォッシュには「7つの罪」があると言います。

グリーンウォッシュの7つの罪


1. 隠れたトレードオフの罪
2. 証拠のない罪
3. 漠然とした罪
4. 偽のラベルを崇拝する罪
5. 無関係の罪
6. 2つの悪のうちの小さい方の罪
7. 不正確の罪

トレードオフとは、1つを得ると他方を失う関係のことです。隠れたトレードオフは、環境に対する1つの良いことを主張する裏で大きな環境負荷が発生しているのに、それを隠すことを指します。

また、環境に良いと謳いながら正しい根拠や数値を示さないことを、証拠のない罪や漠然とした罪であるとしています。企業や商品とは無関係の事実を引き合いに出して自社の取り組みをアピールしたり、どんぐりの背比べとも言える比較をしただけの情報を提示したりすることは、正しい主張とは言えません。

さらに、第三者機関のお墨付きをもらったかのように見せかけることも、グリーンウォッシュが犯す罪となります。

グリーンウォッシュは、虚偽の情報による不当な資金集めにも繋がります。昨今、環境や社会、企業統治を判断要素に含めて投資をする「ESG投資」に注目が集まっていますが、ESG投資を行う投資家から資金を集めるために、グリーンウォッシュが行われることもあります。

しかしグリーンウォッシュを行ったことが判明した場合、自社の企業イメージを下げることとなり、結果的に大きな痛手を負うことにもなりかねません。

グリーンウォッシュの具体的事例

グリーンウォッシュの具体的事例

グリーンウォッシュをより具体的に理解できるよう、実際にあった事例を紹介します。

H&M

H&Mは2019年に、“サステナブルファッション”と謳って「コンシャス製品」を発表しました。“Conscious=意識した、配慮した”と銘打った、まさに“環境に配慮した”製品です。

しかしリサイクル素材の含有量をはじめとした、具体的な情報の不足が判明したのです。そのため、ノルウェー消費者庁はH&Mに対して「実態を伴わない違法広告である」と指摘しました。

H&Mはその後も環境に対する取り組みを積極的に行い、今ではファッション業界において環境に配慮する企業の代表的存在となっています。

マクドナルド

マクドナルドは2018年に、イギリスやアイルランドの店舗で使用していたプラスチック製ストローを廃止し、紙製ストローに切り替えました。

紙製ストロー導入時、マクドナルドは「すべてのストローが100%リサイクル可能」と謳っていました。しかし後日、すべての紙製ストローをリサイクルすることなく廃棄していたことが判明したのです。

当時マクドナルドは、「紙製ストローの強度を高めた結果、リサイクルができなくなった」と声明を出しています。

当初リサイクル可能としていたストローをすべて廃棄していたことは、グリーンウォッシュにあたると指摘を受けました。

グリーンウォッシュに対する日本の規制

2022年3月時点で、日本にはグリーンウォッシュに関する明確な規制はなく、厳しい規制を始めている欧米と比較すると、大きな遅れをとっている状況です。

しかし、2021年6月に金融庁が公表した「サステナブルファイナンス有識者会議報告書」では、「グリーン」や「サステナブル」といった概念に明確な基準を設けることについて触れています。

その中で、EUなどがすでに取り組んでいる『グリーンウォッシュやSDGsウォッシュを防止し、真にサステナビリティ目標に資する資金フローを実現すること 』を目的とした基準策定への動きについて触れ、さらに日本でも基準の制度化に向けた検討が始まっているとしています。

こうした記述を踏まえると、今後日本でもグリーンウォッシュの対策について議論されるだろうと推測できます。

グリーンウォッシュに惑わされないよう私たちが気をつけるべきこと

グリーンウォッシュは、既に私たちの生活と隣り合わせにある問題です。

誤った情報に惑わされることなく正しい判断ができるよう、私たちが気をつけるべきことは、企業が行う環境活動や商品に記載された環境実験の結果などについて正確な情報を得ることです。例えば、企業情報や商品のホームページなどで、正しい数値や製作過程まで知ることが重要です。

環境への取り組みを真摯に行っている企業の商品を積極的に購入することが、環境に優しい企業を応援することに繋がるでしょう。

「グリーンウォッシュ」に惑わされず正しい判断をしよう

私たちがモノを買うときには、製造過程や素材のルーツなど商品の裏側にまで気を配る必要があります。表に出された情報のみを鵜呑みにするのではなく、信頼できる企業を応援し、心から信頼できる商品を購入しましょう。

私たち消費者の購買行動が、企業の虚偽・誇大表現のある情報の発信を防ぐことに繋がります。つまり私たちがグリーンウォッシュを排除するための行動は、今後も私たちが安心して買い物ができる環境を守るために必要なことだと言えます。

消費者を欺くグリーンウォッシュが今後増えないよう、“賢い消費者”でありたいものです。

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