2022.12.25
地域のチラシやポスターで、「子ども食堂」の文字を目にすることが多いのではないでしょうか。「子ども食堂」では、温かい食事を子どもたちに無料または格安で提供していますが、食事を提供するだけではない大きな役割も担っています。
この記事では、子ども食堂の役割やSDGsとの関係、メリットのほか、子ども食堂が抱える課題について解説します。
主に市民のボランティアが主体となって、子ども達に食事を提供する場所です。多くの場合、子どもは無料、大人も100円から500円ほどの価格帯で食事をすることができます。
また、子どもに限らず、子を持つ親やひとり暮らしの高齢者にも食事を提供する子ども食堂もあります。そのため、名前が”子ども”食堂とは異なることもあります。
子ども食堂は、単に食事を提供する場としてだけでなく、コミュニティとしての役割も担っています。普段何らかの事情でひとりで食事をする子どもに「場」を提供することで、孤食を防ぎ、新たな居場所を作ります。
また、子のいる親同士のコミュニケーションや、世代を超えたコミュニケーションの場としても大きな役割を果たします。さらに、子どもへの学習支援や体験プログラムを行うことで、学びの場としての役割も担っています。
子ども食堂や類似した食事提供の場は、全国各地に多数あります。ここでは例として、いくつかの子ども食堂を紹介します。
2022年8月現在、毎週金曜日に開催されています。子どもは無料、大人は300円で食事が出来ます。北海道国際交流センター内に位置するため、海外からの留学生との交流も可能です。
世界各地の話を聞いて視野を広げたり、クイズやワークショップで交流を深めたりすることが出来る場となっています。
2022年8月現在、第1・3水曜日に開催されています。2021年6月開設の新しい子ども食堂です。中学生までの子どもは無料、大人は500円で食事が出来て、アレルギー対応やテイクアウトも可能です。利用の際は事前予約が必要です。
幼児~高校生を対象に、無料で食事を提供しています。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、2020年2月からはこれまで食堂に訪れていた子どもの家庭にお弁当を配達しています。米やレトルト食品をはじめとした食材配布などの支援も行っています。
子ども食堂の運営は、SDGsの目標達成に向けた活動のひとつにもなっています。2030年までに世界が達成すべき17の目標のうち、主に、以下の目標と深く関連します。
このほか、学習支援を行っている場合は「4. 質の高い教育をみんなに」にも関連します。こうしたSDGsとの関係性を受けて、今後は企業や民間団体が子ども食堂の運営を行う例も増えるでしょう。運営団体が増えることで子ども食堂の認知度がさらに高まり、支援の輪が広がります。
子ども食堂は、参加する人に大きく3つのメリットを提供します。どのようなメリットがあるのか、具体的に紹介します。
コンビニエンスストアで購入した食事やファストフードではなく、手作りで温かい食事を無料あるいは格安で食べられます。栄養面でメリットがあるほか、子どもへの食育としても大きな意義があります。
仕事で保護者の帰りが遅い子どもやひとり暮らしの高齢者にとって、和やかな雰囲気の中で食事が出来ることもメリットです。ひとりではなく、他の誰かと話しながら食事をすることで、食事時間を楽しく過ごせるだけでなく、安全面も確保されるので保護者にとっても安心です。
子ども食堂は、子ども同士はもちろん、親同士のコミュニケーションの場にもなります。子育てに関する悩みを相談しあうなど、地域の大切な交流の場となっています。子ども同士、親同士が顔なじみになることで、地域ぐるみで子どもを育てる雰囲気が醸成されるメリットもあります。
子ども食堂は、参加する人にメリットがある一方で、運営者にとっては課題もあります。子ども食堂が抱える、”3つの不足”を紹介します。
子ども食堂の運営には、ボランティアスタッフの存在が欠かせません。特に、調理には多くの人手が必要です。しかし、毎回参加出来るスタッフや調理が出来るスタッフを多く確保することが難しく、人手不足の原因となっています。
調理スペースや食事場所、学習スペースなど、子ども食堂を運営するのに十分なスペースが確保しづらい問題もあります。子ども食堂は寺や教会、公民館などで行われることも多く、特に大きな調理場の確保が課題です。
食事を提供するためには、食材費、光熱費がかかります。特に、栄養バランスや質の良い食事を提供するには、食材費を削りづらいという問題があります。国や自治体から助成金が支給されるものの、助成金で経費のすべてをまかなうことは難しく、スタッフの持ち出しで運営しているケースもあります。
子ども食堂は、参加する人へ食事を提供し、孤独から遠ざけるという重要な役割を果たしています。ここでは、私たちがそうした場を直接的・間接的に支援する方法を解説します。
直接的な支援として、ボランティアスタッフとなる方法があります。現場を見て、具体的にどのような支援を必要としているか知る機会にもなります。多くの場合、調理スタッフだけでなく、学習・遊びのサポートや、自宅へ送り届けるスタッフも募集しています。興味がある場合は、複数の子ども食堂の情報を確認すると良いでしょう。
間接的な支援方法には、「寄付」があります。寄付するものには、お金だけでなく食材の寄付もあります。またお金の支援については募金に限らず、クラウドファンディングへの参加という方法もあります。
なお、こちらのサイトでは、支援を求める子ども食堂を必要なもの(食材、スタッフ、資金)別に紹介しています。支援したい場合は、ぜひ参考にしてください。
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