2022.09.30
食品添加物に対し、多くの人が「身体に悪い」というイメージを持っているのではないでしょうか?しかし実は、食品添加物の使用によって、私たちの食生活が豊かになっている一面もあるのです。そこでこの記事では、食品添加物の役割や使用における注意点について解説します。食品添加物との上手な付き合い方について考えていきましょう。
食品添加物には、私たちの生活を支える役割が大きく4つあります。ここでは、私たちの食生活を豊かにする4つの役割について解説します。
1つ目として、菌の繁殖を抑えたり品質の低下を防いだりする働きがあります。こうした働きから、食品を長持ちさせる役割があると言えます。
食品が長持ちすることで、一度にまとめて輸送することが可能になるため輸送コストが抑えられ、販売価格の安定に繋がるほか、フードロスの削減にも繋がります。また長期保存が可能となり、災害用備蓄食品として私たちの暮らしの安心を守ってくれるメリットもあります。
2つ目に、食品の見た目を良くする役割があります。食品の発色を良くしたり、“つや”や“なめらかさ”を出したりして見た目を良くすることで、食品の付加価値向上に役立っています。
消費者にとっては、見た目が良いことで食欲が刺激されます。また、食べたときの満足感にも繋がるでしょう。一方、食品製造業者にとっては消費者の購買行動を左右するものとして、より見た目の良い食品づくりを目指して添加物を使用します。
さらに、添加物は香りを良くするためにも使われます。香りは、見た目と同じく消費者の食欲や購買意欲を左右する重要な要素のひとつです。
3つ目に、食感を良くする役割があります。添加物の働きによって“とろみ”や“なめらかさ”が出て、舌触りの良い食感に仕上がります。食感の変化によって、食品のバリエーションはより豊かになるでしょう。
また“とろみ”や“なめらかさ”を出す働きは離乳食や介護食にも用いられていて、咀嚼や嚥下の力が弱い人、あるいは出来ない人の食事をサポートする役割も担っています。
4つ目に、食品の栄養価を高める役割があります。昨今では健康志向の高まりによって、栄養価を気にかけて買い物をする消費者も増えているので、そうした市場のニーズに応える目的で添加物が使用されています。
その他、食品を加工・調理する過程で食品が本来持っていた栄養素が流れ出たり、分解されてしまったりすることがあるため、失われた栄養素を補う目的でも添加物が使用されています。
私たちの食生活において大きな役割を果たす食品添加物。しかし過度な摂取は、私たちの身体にとってデメリットとなり得ます。そのため、ここでは食品添加物に関する注意点について解説します。
食品添加物は、食品の美味しさや食べた後の満足感を向上させる働きがあるため、食べ過ぎに繋がることがあります。食べ過ぎによる問題は、塩分や糖分、油分、脂肪分などの過剰摂取に繋がり、長期化すれば健康を脅かす可能性があることです。
食べ過ぎることなく満足感を得られるよう、生野菜を一緒に摂る、よく噛んでゆっくり食べるなどを心がけることが大切です。
食品添加物のなかには、アレルギー物質を含むものがあります。多くの人がアレルギー反応を起こす可能性がある添加物は、国によって使用が規制されています。しかし使用の基準は国によって異なるため、海外で使用が禁止されている添加物が、日本で使用されている場合もあります。また、アレルギー反応の有無は個人によっても異なるため、摂取には注意が必要です。
食品添加物には、一日摂取許容量と呼ばれる数値があります。ADIとも呼ばれるこの数値は、添加物の安全性を調べる試験で健康に異常をきたさない最大無作用量を求め、それに安全係数(100分の1)を掛けたものです。
つまり、この範囲内であれば毒性はないと言えますが、同時に、摂取しつづけた場合に毒性がゼロではないとも言えます。健康被害が生じる程同じものを大量に食べることは、日常生活においてほとんどの人がしないでしょう。しかし、添加物の大量摂取が健康上のリスクとなり得ることは覚えておきましょう。
日本で使用可能な食品添加物は「食品衛生法」で4つの種類に定められています。ここでは、厚生労働省の解説をもとに、食品添加物の種類を紹介します。
食品衛生法第12条に基づいて、リスク評価を行ったうえで厚生労働大臣が使用して良いと定めたものです。化学的合成品に限らず、天然物も含まれています。甘味料として用いられるアスパルテームやキシリトール、植物のオレンジ色の色素成分で着色料として用いられるβカロチン、保存料として使われるソルビン酸などが指定されています。
化学合成品以外の添加物のうち、以前から日本で広く用いられてきたものです。長い食経験に基づいて例外的に評価および指定を受けずに使用・販売等が認められています。例として、カラメルや塩化マグネシウム(にがり)などが挙げられます。
一般の飲食物を、食品添加物として使用しているものです。例としていちご果汁や寒天、小麦粉などが挙げられ、単体で飲食が可能なものが一般飲食物添加物です。
動植物から得られる天然の香料で、食品に香りをつける目的で用いられます。例としてバニラやジンジャー(生姜)、スペアミントなどが挙げられます。あくまで香りづけのために使われるだけなので、使用量はごくわずかです。
食品添加物を摂取するうえで気になるのが、安全性ではないでしょうか。安全基準については、世界で明確に統一されているわけではなく、国内外で安全基準や使用可能な添加物が異なる状況です。
しかし、日本において国内の法律下で使用される添加物の種類や量であれば、安全であるとされています。それは、厚生労働省が行っている毒性試験の結果に基づいて安全性が確認された添加物のみが使用されているからです。
また、既に厚生労働省が認可した添加物であっても、継続して毒性試験が行われ、情報が更新されています。さらに、昨今の食品の製造技術や保存技術の進化に合わせて、添加物の必要性も適宜見直され、不要とされたものは削除されています。
食品添加物は、ポテトチップスやアイスクリームなどのお菓子、菓子パン、コンビニエンスストアやスーパーマーケットで販売されるお弁当やお惣菜など、さまざまな食品に使われています。消費者にとって、こうした食品は美味しくて満足感があることに加え、調理時間を短縮し便利でもあります。
添加物というと悪い面ばかりがフォーカスされがちですが、良い面にも着目し、便利さと安心を天秤にかけて上手に付き合っていきたいものです。
私たちが食品添加物との上手な付き合い方を考えるときに大切なことは、添加物を嫌って一切使わないのではなく、添加物の過剰摂取に注意すること、アレルギー物質を摂取しないよう気をつけることではないでしょうか。
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