2021.08.09
生産性の高まりにより、大量生産・大量消費でものが溢れるようになった世界。しかし、SDGsの12番目の目標「つくる責任 つかう責任」でもあるように、資源には限りがあります。
私たちやこれから生まれてくる子どもたちが、これからも地球で暮らしていくにはサスティナブル(持続可能)な生産と消費が求められます。この動きは流行に大きく左右されるファッション業界でも普及しつつあります。
大好きなファッションをこの先も楽しむために、私たちにできることを考えていきませんか。
サスティナブル(Sustainable)とは、sustain(持続する)とable(〜できる)からなる言葉で、「持続可能な」という意味があります。サスティナブルは形容詞ですが、名詞でサステナビリティ(Sustainability)と表現されることもあります。
近年、このサスティナブルという言葉が知られるようになった背景の一つにSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の広がりがあります。
SDGsの影響で、サスティナブルという言葉自体に、これから先の未来もこの地球で暮らし続けられるように環境に配慮したという意味合いが含まれることが増えてきています。
サスティナブルファッションとは、衣服の生産から着用、廃棄までのプロセスにおいて、持続可能であることを目指し、地球環境や生産に関わる人、社会に配慮した取り組みのことを言います。
ファッション産業は、製造にかかるエネルギー使用量や廃棄の問題等、環境負荷が非常に大きい産業の一つで、国際的な課題となっています。
SDGsの12番目の目標「つくる責任 つかう責任」への取組みも拡大する中、サスティナブルファッションは、近年、欧米を中心に広がりを見せていますが、日本での取組みはまだまだこれからと言えそうです。
私たちがお店で手に取る洋服やあまり着ていないうちに流行遅れとなり捨ててしまった服。これらの服の製造プロセスでは多くのCO2が排出されます。
また、原料となる植物の栽培や染色などでは大量の水が使用され、製造過程で余った生地などの廃棄物も出ます。服一着を作るにも多くの資源が必要となるのです。
昨今では大量に衣服が生産され、捨てられており、その環境負荷は日に日に大きくなっています。
原材料調達から1着の服を作るまでのCO2排出量は約25.5kgと言われています。この量は、500mlのペットボトルを255本作る際とほぼ同じ量です。
CO2排出量が増えると地球の平均気温が上昇し、それに伴い異常気象の発生や海水面の上昇、生態系の変化など、様々な悪影響をもたらします。 また、それに伴い食糧生産や水源の枯渇、健康被害、経済格差の拡大など、私たちの暮らしに直結する問題も生じます。
水消費量は約2,300ℓです。お風呂の浴槽約11杯分にもなります。水資源はご存じの通り有限です。
世界中で水消費量は増え、水資源が減少している状況にあります。1着の服を作るにも貴重な水資源が大量に使われているのです。
新品であったり、まだ着られるのに捨てられてしまう洋服のことを洋服ロスと表現します。
最新の流行を取り入れた低価格の服を、短いサイクルで世界的に大量生産・販売するファッションブランドの拡大などの影響で、消費サイクルがさらに早まっていることで問題はより深刻化しています。
サスティナブルファッションの拡大には服を作る企業はもちろんのこと、私たち一人ひとりの行動変容も不可欠です。
サスティナブルファッションの取組みは難しいことばかりではないのです。これまでしてきたことが実はサスティナブルファッションに当てはまることも。
我慢ではなく、サスティナブルファッションは楽しみながら取組めることばかりなのです。
ペットボトルをリサイクルした生地やレーヨンなどの植物系再生繊維を使用して服をつくる取組みがあります。植物系再生繊維は微生物によって分解されるため、焼却してもほとんど有害物質が発生せず、吸湿性にも優れています。
受注生産とはお客さんから注文を受けてから生産をするしくみです。大量生産とは異なり、必要な分を生産するため、洋服ロス削減に繋がります。
不要なものを資源として再利用するリサイクルに対し、デザインやアイディアで新たな価値をつけ、別の新しいものヘ生まれ変わらせるのが「アップサイクル」です。
自動車製品の面影を残したままファッションアイテムにするなど、遊び心とデザイン性が加わることで唯一無二の価値を生み出しています。
素材に合ったケアをすることで、衣服は格段に長持ちします。衣服についている洗濯マークをしっかりチェックしたり、洗濯ネットを使用したりと少しの工夫でお気に入りの服を長く着られたら、嬉しいですよね。
私たちが一着の服を今より1年長く着るだけで、日本全体では、なんと4万トン以上の廃棄量削減に繋がるのです。
私はよく洋服のお直し専門店を利用しています。ビッグサイズでダボッと着ていたTシャツをタイトなデザインにしたり、ロングスカートを膝丈のスカートにしたりとアップデートしています。
時代とともに好きな系統が変化してもお気に入りの素材や色の服はお直しをすれば、長く着ることができます。
「買い換える」の他に「お直し」という選択肢も是非加えていただければと思います。
最近日本でも増えている取組の一つが店舗での古着回収です。回収された古着は新たな服に生まれ変わり、服から服を作る取組みに使用されています。服一着が回収によりゴミとして廃棄・焼却されなければ、約0.5kg のCO2が削減されます。
また、店舗によっては、古着を持ち込むと割引が適用されることも。お得にショッピングできて、リサイクルに貢献もできるなんて一石二鳥ですね。
ファッションはただ単に「着る」という行為ではなく、楽しむものでもあると思います。季節感を出したり、TPOに合わせたり、流行を取り入れる、個性を出すなど楽しみ方は多種多様です。
本当に必要かどうか考えることは大切ですが、すべてをやめるのではなく、サスティナブルファッションを選択し、購入の仕方や着なくなった服をリサイクルするなど工夫をしていくことで、ファッションを楽しむことも環境を大切にすることもできるのではないでしょうか。
これからの未来もファッションを楽しめる世界が続くように、あなたもサスティナブルファッションを選択していきませんか。
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