2022.09.28
アメリカ合衆国ハワイ州では、2021年1月1日から自然環境への有害成分を含む日焼け止めの販売が禁止となりました。常夏の島ハワイで一部の日焼け止めの流通が禁じられたことで、その成分に注目が集まっています。
そこで今回は、日焼け止めに含まれる有害成分が環境に及ぼす影響について解説します。海に優しい製品の選び方も紹介するので、今後日焼け止めを買う際の参考にしてください。
日焼け止め効果のある成分は、紫外線吸収剤と紫外線反射剤の2つに分けられます。このうち、環境に悪影響を及ぼすとされている成分は、紫外線吸収剤です。
紫外線吸収剤は、大きく分けると下記の2種類に分けられます。
いずれも皮膚が紫外線を吸収する前に紫外線を吸収することで、日焼けを防ぐ働きを持ちます。水や汗に強く、長時間にわたって日焼け止め効果が期待出来ることから、多くの日焼け止めに含まれています。
細かく分類すると、ケイヒ酸系、ベンゾフェノン系、トリアジン系など複数の種類がありますが、商品自体には異なる名前で表記されることがあります。例えば、オクチノキサートの場合、「メトキシケイ皮酸エチルヘキシル」と表記されます。
2015年にハワイやヴァージン諸島で実験が行われた結果、オキシベンゾンがサンゴ礁の成長を妨げ、白化させることがわかりました。
白化とは、サンゴが外的要因によってストレスを受け、共生する褐虫藻(かっちゅうそう)が抜け出し、サンゴの骨格が白く透けて見えることを指します。この白化が続くと、サンゴは褐虫藻から光合成生産物を享受することが出来ず、壊滅します。
サンゴ礁には多くの海の生物が住み、その生物を捕食して生きる生物もいます。そのため、サンゴ礁の壊滅は海の生態系の壊滅にも繋がり、ひいては私たちの食生活にも影響すると考えられます。
日焼け止めの使用による環境への悪影響を考慮して、日焼け止めを使わないという選択肢もあるでしょう。しかし、皮膚がんになるリスクや肌の老化などの影響を考えると、日焼け止めを一切使わないことは現実的ではありません。
では、海に優しい日焼け止めはどのように選べばよいのでしょうか。まず大切なのは、オキシベンゾンやオクチノキサートを含んでいない製品を選ぶことです。しかし、成分表を見ても異なる名前で表記されていることもあり、多くの場合は一見しただけではわかりません。
そこで心がけたいのが、「紫外線吸収剤不使用」「ノンケミカル処方」と記載された日焼け止め製品を選ぶことです。文字通り、紫外線吸収剤や化学物質を含んでいないため、海に優しく、使う人の肌にも低刺激で優しい製品です。
ただし、日焼け止め効果を示すSPF値やPA値が低い製品が多いため、こまめな塗り直しが必要です。また、より高い効果を得るには、UVカット効果のあるラッシュガードを着用したり、陸上であれば日焼け止めを塗った上で日傘や帽子を使ったり、といった対策もよいでしょう。
ここでは、海に優しいおすすめの日焼け止め製品の一部を紹介します。エコフレンドリーな製品を探している人、これから日焼け止めを買おうとしている人は参考にしてみてください。
オーガニックコスメブランドとして知名度の高い「WELEDA」から発売されている、オーガニックUVミルクです。肌を紫外線から守りながら、肌に潤いを与えます。
天然由来成分100%で、紫外線吸収剤不使用の製品です。また、石鹸や洗顔料で落とせて、生後1か月の赤ちゃんにも使える低刺激な製品です。
顔はもちろん、身体にも使えるため、1本で全身の日焼けを防げます。ブルーライトも96.9%※カット出来るので、スマートフォンやパソコンを頻繁に使う人にもおすすめです。
SPF38・PA++
※ 第三者機関実施試験結果より
動物由来の成分を使わないヴィーガンコスメブランド「ROVECTIN」の日焼け止めです。「ROVECTIN」は、製品開発時に動物実験を一切行わない「Cruelty Free(クルエルティフリー)」のブランドとしても知られています。
UVディフェンスは、ノンケミカル処方、紫外線吸収剤不使用で低刺激です。石鹸で落とせて肌にも海にも優しい製品でありながら、ウォータープルーフで汗や水に強いところが特長です。
化粧下地としても使えて、汗をかきやすい暑い日でも高い効果が期待出来ます。身体には、一緒に販売されているプレミアムボディローションを使うのがおすすめです。
2022年現在、紫外線吸収剤を含む日焼け止めの販売を禁止している地域に、パラオやハワイ、カリブ海のオランダ領「ボネール島」などが挙げられます。
日本ではメーカーが環境に配慮した製品を販売し始めているものの、国として有害な製品の販売を規制するには至っていません。しかし、海はひと続ぎになっているため、世界中で有害物質の使用を廃止しなければ環境への悪影響を止めることは出来ません。
また、紫外線吸収剤の使用は日焼け止めに限った話ではなく、化粧下地やファンデーション、リップクリームなどさまざまな製品に使われています。確かに、紫外線吸収剤を含む日焼け止めの流通を規制しただけでは、環境対策として不十分であることも事実です。
こうした状況を踏まえ、私たち消費者に出来ることは、製品の成分に着目し購買行動を行うことです。自然環境を守ることは、自分の暮らしを守ることにも繋がると言えるでしょう。しっかりと紫外線対策をするかたわら、環境に優しい日焼け止めを使うことで、自分も環境も守っていきたいものです。
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