2022.07.21
買い物をするとき、環境にやさしい製品・商品を選びたいと思っても、本当に信頼出来るものなのか、その製品や商品が良いものなのか悩みますよね。そんなときに注目したいのが、有機認定を示す「エコサート認証」です。
今回はエコサート認証になじみのない人に向けて、エコサート認証とは何かを解説します。これから買い物をする際に、ぜひ参考にしてください。
エコサート認証とは、国際有機認証機関「エコサート」が認証した商品に付与する国際的な有機認定マークを意味します。
認定マークはオーガニック原料を使用している製品や商品のうち、さらに厳しい基準を満たしたものについています。認定マークがついていることによって、環境にやさしい製品あるいは商品であることがひとめでわかります。
認証を行うエコサートは、フランスに本部を置く世界最大規模の国際有機認証機関です。世界80ヶ国以上で認証を行っていて、世界基準と言われるほど大きな存在となっています。
農産物や加工食品、化粧品など、多岐にわたる範囲の認証を行っています。なかでもオーガニックコスメの認証における世界シェアは約75%と言われていて、多くのメーカーや消費者から信頼を集めています。
認証には原料そのもののほか、原料の保管方法や輸送手段などにも、とても厳しい基準が設けられています。メーカーにとってその基準をクリアすることは簡単ではなく、コストもかかります。
一方、オーガニックの製品・商品を買い求める消費者にとっては、厳しい基準をクリアした製品・商品であることから信頼と安心感が得られます。
エコサート認証を取得するには、各メーカーがエコサートに申請して審査を受けます。エコサートが設けた厳しい基準をクリアする必要があり、細かな基準は製品・商品のジャンルによって異なります。
土壌管理、製品・商品の容器においても基準があるほど、製造から販売まですべての過程に基準が設けられています。
例として、化粧品や日用品の原料基準には、以下のような項目があると言われています。
・製品・商品の成分のうち、95%以上が天然由来原料であること
・植物原料のうち、95%以上がオーガニックのものであること
・化学香料は使用しないこと
こうした基準を満たしたものだけに認証マークがつけられ、店頭に並びます。
エコサート認証は、環境・メーカー・消費者である私たちの、3方向にメリットをもたらします。
認証制度の存在が環境負荷を抑えることに繋がり、また認証された製品・商品を食べたり使ったりすることは私たちにとってメリットがあるでしょう。
ここでは、それぞれにどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
認証制度の存在は、多くの企業や人々の意識を変えるきっかけとなります。
制度があることによって認証という目標を目指し、目標達成に向けた取り組みを行います。環境と向き合う機会が増えることで、日々環境への意識が変わっていくこととなるでしょう。
また、多くの企業が認証取得を目指して持続可能な成分で製品あるいは商品を作るようになるため、環境負荷を抑えることに繋がります。
認証の取得は、メーカーに大きく2つのメリットをもたらします。1つめは、企業やブランド、製品の価値向上であり、2つめは、製品・商品の存続です。
認証を取得することで、環境に対する企業姿勢を示すことが出来ます。環境活動に真摯に取り組む姿勢が伝われば、取引先や消費者などステークホルダーに対するイメージ向上が期待出来ます。
また近年、環境活動を投資基準の要素のひとつとする「ESG(イーエスジー)投資」が投資家の間で重視され始めています。そのため、資金調達のきっかけにもなり得るでしょう。
また、認証取得に向けて持続可能な原料を使うため、製品を持続的に作れるようになります。その結果、ブランドや企業の存続にも繋がるのです。
消費者である私たちにとっても、目の前にある製品・商品にエコサート認証がついていることは、安心感や信頼感など感情面でのメリットがあります。
また、農薬や添加物による刺激がない、または少ないため、身体面にもメリットがあるでしょう。
そして、製品・商品を作る過程において環境負荷が小さいことそのものが、私たちが暮らす環境によい影響となっており、私たちにとってのメリットであると言えます。
オーガニックを原料としていることを示す認証マークは、エコサート認証だけではありません。ここでは、農作物、化粧品、繊維について、それぞれ代表的な認証マークを紹介します。
農林水産省の認証制度に基づく認証マークです。日本の有機農作物には必須のマークです。この有機JASマークなしに、「有機」「オーガニック」の表示は出来ません。
使用禁止となっている農薬や化学肥料、遺伝子組み換え技術などを使わず、管理された水田や畑で生産されたことを示しています。
従来、化粧品には国によって異なる認証基準がありました。基準のばらつきによる混乱や煩雑さを避けようと、ヨーロッパでは5つの認証団体がヨーロッパ統一基準を策定しました。
策定にあたり、もっとも厳しいエコサートの認証基準をもとに基準を定め、エコサート認証に準拠する形で化粧品認証の統一基準となる「COSMOS」が生まれました。
米国農務省による認証制度に基づいた、認証マークです。本来は食品基準の認証であるものの、化粧品に対しても採用されることが多いのが特徴です。
化学肥料や成長ホルモンの使用禁止などの基準を設け、クリアした製品・商品にのみUSDAマークが付与されます。
オーガニック繊維で作られた製品を対象とした、テキスタイル製造・加工の国際基準です。糸や生地、衣服、アクセサリーなど、あらゆる繊維商品を幅広く認証しています。
こちらも厳しい基準で認証が行われており、最低限70%以上のオーガニック繊維で作られているものに認証マークを付与し、そのうえ残りの30%未満のオーガニック以外の繊維についても規定があります。
環境に良いことをしたいと思っても、環境に良いことには手がかかる、時間やお金がかかると思い、ついハードルが高いと感じてしまいます。
しかし、例えば買い物をするときはエコサート認証マークをはじめ、オーガニックに関する認証マークがついているものを優先的に選ぶことなどは、簡単に始められることでしょう。
その選択ひとつだけで、買い物を通じて環境にやさしい活動に貢献出来るのです。今日からすぐに実践出来る、手軽な環境支援と言えるのではないでしょうか。
2022.07.21
持続可能な開発目標の達成に向けて、近年、多くの企業が環境に配慮する取り組みを行っています…[続きを読む]
2022.03.13
かつて欧米ではミツバチの大量失踪が問題となり、事態を重く見た日本でも有識者会議が行われま…[続きを読む]
2021.05.29
海に漂着したプラスチックごみの中でも、「マイクロプラスチック」は環境や私たちの体に甚大な…[続きを読む]
2022.09.26
家畜やペットなどの動物に、必要以上の苦痛を与えるべきでないとする「アニマルウェルフェア」…[続きを読む]
2022.06.05
近年、環境悪化によりお寿司が食べられなくなると言われています。具体的には、環境変化を受け…[続きを読む]
2022.07.19
2024年1月から、フランスで「動物愛護法」が施行されることとなりました。「動物愛護法」…[続きを読む]