2021.07.14
日本が「飽食の時代」と言われ始めたのは、1970年代頃。それから50年が経った今の日本では、より多くの食品が作られ、捨てられています。売れ残りや食べ残しにより発生するフードロスは、食品がもったいないということはもちろんですが、環境問題の原因にもなっています。環境を改善し、持続可能な社会にするには、早急な対策が必要です。
この記事では、日本のフードロスの現状を知り、今すぐ私たちでも取り組める対策を考えていきます。
フードロスは環境問題を引き起こし、その影響はやがて私たちの生活に影響します。そこで、日本におけるフードロスの現状を見ていきます。
フードロスとは、売れ残りや食べ残し、期限切れ食品など、本来は食べることができたはずの食品が廃棄されること。(参考:wikipedia) デパートやスーパーだけでなく、各家庭で食品が廃棄されることも指します。このフードロスが世界的に問題となっている理由は、大きく2つあります。1つは、食品がもったいないということ。そして2つめは、大量のフードロスが環境破壊の原因となることです。
スーパーやコンビニなどで販売される食品には多くの人が関わり、設備や人件費、時間的にもコストがかかります。出来上がった食品が食べられずに廃棄されると、作っている人々の労働力や気持ちをムダにするという感情的な問題と、時間や費用をムダにするという経済的な問題を含んでいます。
また、廃棄された食品をごみとして燃やすことにより、二酸化炭素や有毒ガスが排出され、地球温暖化の原因となります。地球温暖化が進めば生態系のバランスが崩れ、今食べることができている魚や肉類、野菜や果物が獲れなくなり、食料不足の問題に発展します。
UNEP(国連環境計画)が報告した2021年の食品廃棄指標によると、家庭での1年の食品廃棄物の合計が多い国として日本は世界の中でワースト4位に挙げられています。また、アジア地域では、中国に次いで第2位です。
日本全体で1年間に約816万t、1人あたり約64kgの食料が廃棄されていることになります。
世界全体で抱えている大きな問題の原因の一端を担っている日本には、早急に根本的解決を行なうことが求められています。
そもそも、日本で発生しているフードロスの原因は何なのでしょうか?考えられる原因として、まず社会的な原因を挙げると、日本の経済活動が大きく影響しています。私たちの暮らしで身近な例では、近年ニュースでも問題として多く取り上げられている、バレンタインのチョコレートや節分の恵方巻。経済活性のための商機となっていますが、イベントの日付が過ぎると大量に廃棄されます。
また、デパートや大型スーパーで見られる大量陳列、大量在庫もフードロスを招く原因の1つです。大量陳列の目的は、消費者の目を引き、商品の認知度を上げたり、商品購入へ繋げたりすること。大量に在庫を抱える目的は、在庫切れによる販売機会の損失を避けることです。
つまりこれらは、消費者としての私たちの購買姿勢に起因するとも言えます。消費者がバレンタインに大量にチョコレートを買うことをしなければ、大量に作られることがないことから経済と深く関わる問題ではありますが商品を選択して購入する私たちにも責任がないとは言えません。本来は必要でないはずのものを、店頭で気になり購入することがなければ、大量の陳列もおこなわれないでしょう。
地球環境への負荷が大きいフードロスを早急に減らすには、どのような取り組みをしたらよいでしょうか。世界、そして日本でおこなわれている取り組みを見ていきましょう。
アメリカではもともと、カフェやレストランでオーダーし、食べきれなかった食べ物を持ち帰る習慣があり、日本もこの習慣を取り入れようとしています。
また、フランスでは2016年に世界で初めて「食品廃棄禁止法」が施行され、大型スーパーで売れ残った食品の廃棄が禁止となりました。「食品廃棄禁止法」ではさらに、売れ残った食品はボランティア団体への寄付が義務付けられています。
そしてスペインでは、「フードシェア」と呼ばれる冷蔵庫が街中に設置されています。これは、家庭で余った食材を「フードシェア」に保存し、保存された食材は誰でも自由に使っていいという共同冷蔵庫のような仕組みです。
作りすぎた食事が保管されることもあり、この仕組みは貧困問題の解消にも役立っています。
日本では、食品ロスに対する2つの法律が定められています。その法律に基づいて各企業が食品ロス削減の取り組みをおこなっています。
日本でよく目にする閉店時間直前のタイムセールは、フードロス対策の1つと言えます。また、日本は他の国と比較して食品の賞味期限が短く設定されているうえ、1日ごとの日付まで印字されています。そのため、賞味期限表示を年月までの表示に変更する取り組みも進められています。
「MOTTAINAI」は、環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マータイさんによって、日本の「もったいない」という言葉をその意味と共に世界の共通語にしようと提唱され、ローマ字表記された単語です。
この「MOTTAINAI」という考えのもと、私たちが毎日の生活の中でできることを考えていきましょう。
家庭で消費されることなく、買ったままの状態で捨てられる食品を減らすには、必要なものを必要な分買うということが大切です。
そのためには、買い物に行く前にあらかじめ買うものを決めておくとよいでしょう。こうすることで、店頭での衝動買いをなくせます。
また、家にある食材を常に把握しておくことも重要です。既に家にあるものを買い足してしまったということのないよう、日ごろから冷蔵庫や棚を整理し、賞味期限や個数を把握しておきましょう。
もしどうしても食材が余ってしまう場合は、作り置きに使う、冷凍保存をするなど工夫して保管しましょう。
買い物をするとき、賞味期限を気にして、棚の後ろに並ぶ商品を手に取ってしまっていないでしょうか?そうすることで、賞味期限が迫る手前の商品は廃棄されることとなります。
そのため、すぐに食べきる食材であれば、賞味期限を気にせずに手前からとるようにしましょう。また、買ったものをなるべく早く食べきろうとすることも大切です。
お中元やお歳暮でいただいた食品が好みと合わない、量が多すぎるなどの理由で食べきれなかった経験はないでしょうか?また、バレンタインや節分といったイベントもフードロスを招く一因となってしまっています。
そこで、これまでのイベントや慣例のあり方を見直すことも必要となっています。たとえば、お中元やお歳暮の送り先の見直し。そして、節分の恵方巻は事前に予約することで、お店は用意すべき数を事前に把握できるので過剰に作る必要がなくなります。
フードロスをなくすための民間の取り組みに、「フードバンク」があります。「フードバンク」とは、まだ食べられるのに廃棄される食品を、食べ物に困っている施設や人に届ける活動やその活動をおこなう団体を言います。
防災備蓄として保管していた食べ物、贈答品として受け取り保管していた食べ物など、賞味期限が1か月以上あるものをフードバンクに送ります。その後、フードバンクを通じて、食べ物を必要とする施設・人に食べ物が配られます。
こうした取り組みにより、フードロスの削減、環境負荷低減などに貢献することができます。
最近では、WEBサービスやスマホアプリを使って、規格外で店頭に出せない食材や賞味期限の近い食べ物をお得に購入できるプラットフォームもあります。ここでは、その一部を紹介します。
品質にこだわる農家・漁師から旬の食材を直接お取り寄せできる産直通販サイトです。(食べチョクホームページより抜粋)
小売店を通さないため新鮮なものを手軽な価格で購入できるほか、生産者自身が価格付けをしているため生産者支援につながります。
ポケットマルシェも生産者から直接食材を購入できるサイトです。規格外の「訳アリ品」は、よりお得に購入できます。お肉やフルーツなど、普段は値段を気にする食材も、お得に購入できるのでおすすめです。
フードロス削減に賛同したメーカーから提供された商品を、最大97%オフで購入できるサイトです。売上の3~5%が環境保護や動物保護の団体など社会貢献活動団体へと寄付されます。
まだ食べられるにも関わらず、規格外・販売予測のズレといった理由で「ロス予備軍」となっている食べ物を販売しているサイトです。
このサイトでは、百貨店や商業施設で販売予定だったチョコレートに力を入れて販売していて、チョコレート好きな方におすすめのサイトです。
作った食事を売り切りたい飲食店と、そうしたお店を救いたい消費者のマッチングをするアプリです。アプリに登録している飲食店で売り切れない食事が出た場合、アプリに表示されます。
消費者であるアプリのユーザーは、表示されているお店の中からお店と食べたいメニューを選び、指定の時間になったらお店に受け取りに行って持ち帰るというシステムです。
アプリの使用料はなく、手軽にフードロスへの取り組みができます。
日本は世界の中でも特に、フードロスの多い国です。フードロスの大幅な削減には、ひとりひとりの地道な取り組みが必要となりますが、まずは「食べる分だけ買う」ことを心がけるとが大切です。
それにより、常に新鮮なものを食べることとなり、結果として自分の身体にとっても、メリットがあります。
また、インターネットのサービスやアプリでお得にフードロスの対策ができる手段も増えています。こうした手段も活用して、ぜひ楽しみながら取り組んでいきましょう。
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