2023.01.09
地産地消は、以前から取り組まれていますが、実施することでさまざまなコストを削減できるため、環境、生産者、消費者それぞれにとってメリットがある活動と言えます。そこでこの記事では、地産地消について初めて知る人に向けて、実施することで削減できるものやメリット・課題について解説します。
地産地消とは、ある地域で作られた農産物・水産物を、その地域で消費すること、また、その考え方や運動を指します。
野菜や果物などを生産地と同じ地域で消費することにより、削減できるものが多くあります。ここでは、削減できるものについて具体的に紹介します。
地産地消は、二酸化炭素の排出量削減に繋がります。なぜなら、地産地消によって野菜や果物などを他の地域へ輸送する機会を減らす、あるいはなくせるからです。また、輸送する場合でも、その距離を短くすることができるからです。
輸送機会を減らしたり、なくしたりすることで、ガソリンの使用量も削減でき出来ます。限りある資源の使用量を減らすことは、環境負荷を抑えることに繋がります。
輸送による変形や破損などによって市場に出せない食材は、多くの場合、廃棄されます。しかし、地産地消で輸送機会が減ったりなくなったりすることで、食材の変形・破損がなくなり、食品ロス削減へと繋がります。
地産地消は、従来かかっていた輸送費用の削減も可能にします。人件費や燃料費、車・飛行機などの維持費を抑えることができるでしょう。
地産地消によって、これまで輸送に必要としていた時間を削減することも可能です。輸送そのものにかかっていた時間だけでなく、準備として行う箱詰めや手続きなどの時間も削減できるため、他の作業に時間を使えるようになります。
地産地消によって多くのものを削減できますが、ここではその削減によってどんなメリットを得られるのか、対象別に解説します。
まず、自然環境からみたメリットです。自然環境へのメリットは、私たちの生活にも良い影響をもたらします。
地産地消を実践することで、温室効果ガスのもととなる二酸化炭素排出量を削減し、地球温暖化を鈍化させることに繋がります。地球温暖化を食い止めることは自然環境にとってメリットとなるだけでなく、私たちの生活にも大きなメリットとなります。
地産地消で輸送の頻度が減ることにより、ガソリンの使用量が抑えられ、限りある資源である石油を節約することができます。枯渇が懸念されている化石燃料の使用量を減らせれば、私たちの暮らしを長く守ることもできると言えます。
続いて、生産者から見るメリットです。生産者にとってのメリットが直接野菜や果物などの価格に反映される場合があるため、消費者にとってもメリットとなる可能性があります。
生産者が消費者に野菜や果物などを直接販売する場合、消費者のニーズをヒアリングする機会となります。こうした機会によって消費者の声を生産に活かしたり、ファンを増やしたりすることができます。
スーパーをはじめとした小売店に食材を卸す場合、色や形などに関する厳しい販売基準を満たす必要があります。しかし、地産地消の多くは、直売や委託販売です。そのため、小売店へ卸すときほど厳しい販売基準がなく、色や形が不揃いであっても販売できるケースが多くあります。その結果、生産者の売上が上がるだけでなく、食品ロス削減にも繋がります。
スーパーや小売店を介して販売する場合、生産者は売上を全て受け取れるわけではありません。販売店や運輸業者への手数料が発生するからです。
しかし、直販や委託販売の場合は、生産者自身が値付けできる、仲介者への手数料がかからない、などの理由から収益面で大きなメリットを得られます。
近年の燃油価格高騰によって輸送コストの負担が大きくなる中、輸送距離が短い、または輸送の必要がない直販・委託販売には燃油コストがかからないため、利益率を維持できる点も地産地消のメリットと言えます。
最後に、消費者からみるメリットです。消費者の購買行動を活発にし、日本の農林水産業の活性化につながる可能性があります。
身近な場所で食材を入手できるため、輸送によって鮮度が落ちることなく新鮮な状態で購入できます。魚や野菜など、鮮度が大事な食材を購入する場合は、大きなメリットとなるでしょう。
直販や委託販売では、スーパーや小売店、運輸業者への利益を価格に上乗せする必要がないため、食材が比較的安価に販売されます。そのため消費者にとっては新鮮な食材を安く入手できます。
直販では、生産者と直接コミュニケーションがとれる場合があります。そのため、食材を購入するだけでなく、消費者としての「声」によって生産者を支援することも可能です。また、新しい食材との出会いの場や、新しいレシピを教えてもらう場になるかもしれません。
地産地消にはメリットが多く、一見すると良いことばかりのように感じます。しかし、今後さらに地産地消を進めるにあたり、大きく2つの課題があります。
スーパーをはじめ小売店で販売する場合は、消費者が食材を買い求めて店舗に訪れます。しかし、直販や委託販売の場合、消費者に販売場所を認知してもらう必要があります。そのため、場合によっては広告宣伝をする必要があります。
さらに、買い物に訪れてもらうための魅力づくりやきっかけづくりなどのPR活動も必要となるため、生産に要する時間とは別に、時間や人手などがかかる懸念があります。
スーパーや小売店で販売する場合は大量に仕入れを行うため、卸価格を抑えて低価格で販売することができます。一方、委託販売の場合は、大量仕入れをしないために卸価格を抑えることができず、小売店での販売価格より高額になってしまう場合があります。
地産地消の取り組みや生産者を支援するために、私たちには何ができるのでしょうか。ここでは、購買行動を通じた支援方法と、それ以外の方法をあわせて紹介します。
ファーマーズマーケットや産直市場で積極的に買い物をすることで、生産者を直接支援することができます。最近では、大手スーパーやコンビニエンスストアでも、地元野菜のコーナーを設けているところが増えているため、支援の機会も増えています。
こうした場が身近にない場合は、買い物の際に、外国産のものより国産のもの、遠くの県より近くの県で生産されたものを選ぶと良いでしょう。
また、インターネットを使った産地直送販売の利用も、生産者支援に繋がります。
購買行動以外の支援方法として、地産地消に関する取り組みに参加する方法があります。
具体的な参加方法として、地産地消を推進するための活動費用を募るクラウドファンディングに参加したり、地産地消を行う生産者にふるさと納税を行ったりすることなどが考えられます。
こうした方法によって地産地消の取り組みや生産者の支援ができることを知り、気軽に実践してみると良いのではないでしょうか。
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