2023.04.30
ブランディングと聞いて皆さんは何をイメージされますか?多くの方は企業や商品の「イメージ」や「印象」など表層的なデザインを連想するのではないでしょうか。ブランディングは表面的なデザインだけではなく、企業や商品の価値や理念、コンセプトを表現し、必要としている方に伝える手段でもあります。
ブランディングには、ロゴデザイン、広告戦略、WebサイトやSNSなど、多様な要素が一貫して統合されることで強力なブランドイメージが構築されます。独自のブランドアイデンティティを築くことで、競合他社との差別化や顧客のリピート率、口コミ拡散が促進されます。
本記事では、大手企業や小さな会社などの会社やビジネス規模を問わず、ブランディング力向上のための戦略や具体的なアクションを紹介します。
ブランディングは、企業の価値やイメージをターゲットに高く認知してもらうための取り組みで、競合他社との差別化や顧客ロイヤリティを高める目的があります。
よくマーケティングとの関連性や違いを質問されることがありますが、マーケティングは、商品やサービスの開発・提供、価格設定など、市場に向けた具体的な活動を指します。一方、ブランディングは、企業や商品が持つ独自のイメージや価値を構築し、それをターゲットに伝える戦略です。
マーケティングは「あなた」に向けた活動に対して、ブランディングは「わたし」のことを知ってもらう活動と覚えておくとわかりやすいです。
また、ブランドと聞くと高級品を連想しますが、マクドナルドや松屋のように色や看板を見かけただけで、「手軽に安く食べられる」「早くて便利」といったイメージを持つ人も多くいます。つまり、ブランドは高級品だけを指すわけではなく、価格帯や商品性質に関わらず、独自のイメージや価値を持った商品や企業を指します。
ブランディングには、インナーブランディング(従業員や組織内向け)とアウターブランディング(生活者や顧客向け)があり、両方がうまく機能することで強力なブランド力が構築されます。
ブランディングは、企業が競争力を維持する上で非常に重要な要素です。企業がブランディングに投資をする理由として、大きく4つの理由があります。
ブランディングを行うことで、企業は競合他社との差別化を図り、市場での競争力を向上させることができます。
例えば、自動車メーカーの市場における競争力向上の例を考えてみましょう。トヨタ自動車は、高品質で信頼性が高く、燃費が良いというイメージを確立しています。これはトヨタの長年にわたる品質管理と、ハイブリッドカーの開発・販売などの取り組みが影響しています。一方で、競合他社の中には、スポーティなイメージやデザイン性に特化したメーカーもあります。
このように、ブランドが強い企業は、顧客の心に印象深く残り、商品やサービスを選ぶ際に優先的に選ばれることが多いため、独自のイメージを持つことで、市場での競争力を向上させているのです。
ブランディングによって、企業の商品やサービスに対する認知度が向上し、また、企業に対する信頼性も高まります。
例えば、「NIKE」はスポーツブランドとして世界的に知名度が高く、ブランドイメージも非常に強い企業の一つです。ナイキのロゴ「Swoosh(スウッシュ)」は、誰もが知っている有名なロゴの一つで、そのロゴが入った商品は高い評価を得ています。また、ナイキは様々なスポーツ選手や有名人とのコラボレーションを行うことで、そのブランドイメージを高めています。
逆に、ブランドイメージが悪い企業は、商品やサービスに対して信頼感を持たれず、市場での評価も低くなることがあります。
ブランドによって、企業は顧客のロイヤリティを高めることができます。顧客のロイヤリティとは、特定のブランドや企業に対して高い愛着を持ち、その商品やサービスを繰り返し利用することを意味します。
例えば、ある人がナイキのスニーカーを愛用している場合、それは彼らにとってファッションの一部であるだけでなく、スポーツや健康に対する熱意を表現する手段でもあるかもしれません。彼らがナイキの商品を購入することで、彼ら自身のアイデンティティーを表現し、自己表現を満たすことができます。
このような心理状態が顧客のロイヤリティを高め、企業にとっては長期的なビジネスの安定化に繋がります。
ブランドが認知されている場合、同じような商品であっても、価格競争を行わずに高い価格で販売することができます。
例えば、Appleは高価なスマートフォンを販売しているにもかかわらず、多くのファンが製品を購入しています。Appleのブランドイメージにより、高価な商品であっても、高品質で、信頼性があり、製品のデザインや使い勝手に優れているという印象を持っているため、顧客はApple製品を購入する意思が生まれるのです。
逆にブランドイメージが低い場合は、同じような商品でも低価格で販売しなければならないことがあります。これは、生活者がその商品に対して十分な付加価値を感じていないため、低価格による付加価値の提供が必要になるためです。
このように、ブランディングによって価格競争を回避し、企業にとっては利益率の向上に繋がるのです。
ブランディングに成功した企業例を紹介します。今回はCoca-Cola(コカ・コーラ)、ユニクロ株式会社、かどや製油所の3社を紹介します。それぞれが独自のブランドコンセプトに基づいたマーケティング戦略を展開し、生活者に強い印象を与えるブランドイメージを構築しています。
コカ・コーラは、世界的に有名なソフトドリンクのブランドであり、ブランドイメージが非常に強い企業の一つです。コカ・コーラは、創業者の思いに基づいたマーケティング戦略によって、ブランドイメージを徐々に構築してきました。
様々なイベントやキャンペーンを通じて、生活者とのコミュニケーションを深めることにも力を入れています。
ユニクロは、日本発のファッションブランドであり、アパレル市場においては世界的にも知られた企業です。ユニクロは、「LifeWear」というブランドコンセプトを掲げ、シンプルで高品質なアパレル製品を提供することによって、世界中の人から支持されています。
ユニクロのブランディング戦略は、品質の追求にあります。生産工程の徹底的な管理や製品開発における先進技術の導入により、高品質かつリーズナブルな製品を提供することに成功しています。また、店舗デザインやマーケティング戦略にも力を入れ、ブランドイメージの強化に取り組んでいます。
かどや製油所は、ごま油を主とした食用油の製造販売を行っている日本の企業です。1858年に小豆島で創業され、長年にわたって高品質のごま油を製造してきました。同社は、世界中から選び抜かれた胡麻を原料とし、150年以上にわたって独自の製法でごま油を製造しており、国内シェアは首位を誇っています。
「ごまで、世界をしあわせに。」をブランドコンセプトに掲げ、ごまに携わるすべての人を笑顔にし、持続可能なサイクルをつくり、社会をより豊かにすることを目指しています。
それでは、自社のブランド力を高めるためには何をすれば良いのでしょうか。ここでは、ブランドを構築するために必要なステップを紹介します。具体的には以下のステップが必要になります。
一つずつ紹介します。
ブランドアイデンティティとは、ブランドが持つべき独自のイメージや価値観、特徴、魅力などを明確にすることです。明確にすることで、生活者は企業や商品についての認識を深め、ブランドに対する信頼や好感度を高めることができます。
自社のブランドアイデンティティを構築するためには、まず自社が持つべき理念や価値を明確にすることが必要です。理念や価値を明確にすることで、ブランドの方向性を定め、コアなファンを獲得することができます。
主な手法
自社の商品やサービスを利用してくれるターゲット顧客を特定することは、ブランディングにおいて非常に重要です。ターゲット顧客を明確にすることで、商品やサービスを提供する上で必要な情報や訴求ポイントを把握することができます。
主な手法
自社の競合他社を把握し、その強みや弱み、市場シェアなどを分析することで、自社の強みを明確にすることができます。また、競合分析は、自社の商品やサービスを改善する上でも非常に有効です。
主な手法
自社のブランドが持つべき独自性を把握し、競合他社との差別化ポイントを明確にすることも重要です。独自性を打ち出すことで、顧客からの注目度を高めることができ、競合他社との差別化につながります。
主な手法
ブランドポジショニングとは、自社のブランドが持つべきイメージや位置づけを明確にし、それを顧客や市場にアピールすることで、自社のブランド価値を高める戦略のことです。適切なブランドポジショニングを行うことで、顧客の心に響くブランドを構築することができます。
主な手法
顧客とのコミュニケーション戦略は、ブランディングにおいて非常に重要な要素です。顧客とのコミュニケーションを通じて、自社のブランド価値や商品・サービスの魅力を伝えることができます。また、顧客からのフィードバックを受け取ることで、商品・サービスの改善点を把握し、顧客満足度を高めることができます。
主な手法
ブランディング要素の設計には、ロゴやカラースキーム、デザインなどのビジュアル面の要素だけでなく、ブランドストーリーやブランドのキーメッセージなどのストーリーテリング要素も含まれます。以下では、それぞれの要素について説明します。
ロゴデザインは、ブランドイメージを象徴する重要な要素の一つです。適切なロゴデザインを作成することで、ブランドの視認性や認知度を高め、顧客に印象づけることができます。
ロゴデザインの重要性は以下の通りです。
例えば、NIKEのロゴである”スウッシュ”は、今や世界的に有名なトレードマークとなっています。スウッシュマークは、シンプルかつ大胆なデザインで、NIKEのアイデンティティを表現し、ブランドの認知度を高めることに成功しています。また、スウッシュマークには、スピードや動きのイメージが込められており、NIKEの製品が高いパフォーマンスを発揮することを表現しています。
さらに、NIKEはロゴの変遷を通じて、時代のトレンドに敏感に対応しています。スウッシュマークは、わずか35ドル(当時1ドル360円)で誕生したことは有名な話ですが、初代ロゴマークはNIKEの文字とスウッシュマークが重なっているデザインでした。
それから、よりスタイリッシュなイメージに洗練され4代目となる現在(1995年に変更)は、ブランド名である「NIKE」の文字を外したスウッシュマークのみのデザインになっています。世界的なスポーツブランドとなったNIKEだからこそできる、シンプルなロゴです。
このようにロゴは、一度作ったら終わりではなく、企業の転換期にリデザインするケースもあり、時代のトレンドに合わせて変化させていくことも必要です。
カラースキームとは、ブランドのカラーを統一的に使用することで、ブランドイメージを統一し、視覚的に認識されやすくすることができる戦略のことです。
ブランドのアイデンティティや商品・サービスのイメージに合わせて設計されることが多く、例えば、清潔感や健康をイメージする場合には青や緑、エネルギーをイメージする場合には赤やオレンジ、高級感をイメージする場合にはゴールドやシルバーといったように、それぞれの意味合いに応じた色が選ばれます。
また、カラースキームは、ロゴデザインやパッケージデザイン、ウェブサイトや広告など、ブランドの様々な媒体で使用されることがあります。そのため、どの媒体でも統一されたカラーパレットが使用されるように、設計段階から何処でどのように活用されるかも考慮しましょう。
メッセージの統一は、ブランドのコミュニケーションにおいて非常に重要です。ブランドが発信するメッセージが一貫していることで、顧客がブランドを認知し、理解しやすくなります。ブランドイメージを強化することで、顧客に強い印象を与えることができます。
例えば、健康に良い影響を与える食品を販売している企業が、一方で高カロリーなスナック菓子も販売しているとした場合、そのメッセージが矛盾してしまい、ブランドイメージに混乱を与えることになります。そのため、メッセージの統一性を考慮し、ブランドイメージを明確にすることが大切です。
商品のパッケージデザインは、商品を購入する際に顧客が最初に目にするものであり、ブランドのイメージを形成する上で非常に重要な要素の1つです。パッケージデザインは、商品の特徴やブランドのアイデンティティを表現することができます。
例えば、ヘルシー志向の食品ブランドでは、自然や健康をイメージする緑や茶色を基調としたパッケージデザインを採用することが多いです。また、高級感を重視するブランドでは、高級感を演出するために、高級感のあるフォントや色合いを使用したデザインが一般的です。
また、パッケージデザインには、商品の使い方や特徴を示すための図や説明文を掲載することで、顧客に商品の価値や魅力を伝えることもできます。デザインによって商品の印象を左右するため、商品のパッケージデザインは、ブランドのイメージ戦略において重要な役割を果たしています。
広告戦略は、ブランディングにおいて重要な役割を担います。広告は、商品やサービスを顧客に知ってもらい、ブランドの認知度を高めるために必要な手段の一つです。
主な手法
コンテンツ戦略は、ブランドを宣伝するためにオンライン上でコンテンツを作成、配信することによって、ブランド認知度の向上や顧客獲得につながる戦略です。特に、ソーシャルメディアやウェブサイト上でのコンテンツは、顧客との接点を増やし、ブランドとの関係性を深めるために非常に重要です。
主な手法
SNS戦略とは、ソーシャルメディアを活用してブランドの認知度を高め、ファンを獲得するための戦略です。SNSを通じて、顧客との対話を促進することで、ブランドと顧客との関係を深め、ロイヤルティを高めることができます。
主な手法
ブランディング施策の実行は、設計した要素を実際に実行する段階です。ここでは、広告やコンテンツ、SNSなどを活用した実際の施策の実行方法について考えてみます。
通常、ブランディング施策を実行するには、「施策の計画」「予算の決定」「実行内容の詳細な決定」「実行の開始」のプロセスがあります。
ブランディング施策を実行する前に、まずは施策の計画を立てる必要があります。施策の目的、ターゲットとなる顧客層、施策の種類や内容、スケジュールなどを明確にし、実行計画を策定します。具体的なアクションプランを作成することで、施策の実行に必要なリソースやスキルを明確化にします。
施策の計画を立てた後には、予算の決定が必要です。施策に必要な予算を決定することで、予算範囲内で最大限の効果を出すことができます。予算の決定には、施策の種類や規模、実行期間、目的とする成果などを考慮して、最適な金額を決定しましょう。
施策の計画と予算を決定したら、具体的な実行内容を検討しましょう。施策の内容やデザイン、コンテンツ、広告などの詳細を検討し、目的に合わせて最適な実行内容を決定します。この際には、ターゲット顧客層を考慮し、その人たちがどのようなコンテンツや広告に興味を持ち、反応するかを分析し、施策の実行内容を決定しましょう。
施策の計画、予算の決定、実行内容の詳細を決定したら、実際に施策を実行します。スケジュールや納期、クオリティの確保、コスト管理などを考慮し、スムーズに行う必要があります。また、施策の実行中は、進捗状況や結果を定期的に評価し、必要に応じて修正や改善を行いながら、施策を最適化していくことが重要です。
ブランドを構築する上で忘れてはいけないのがブランドエクイティです。ブランドエクイティとは、あるブランドが持つ資産価値や信頼性、忠誠度、認知度などの付加価値のことを指します。つまり、あるブランドがどれだけ生活者にとって魅力的であり、その価値が高いかを表す指標です。
ブランドエクイティは、大きく以下の4つの構成要素で構成されます。
これらの要素は、お互いに影響し合いながらブランドエクイティを形成しています。例えば、ブランド認知度が高く、ブランドイメージが好印象であれば、ブランド信頼性やブランドロイヤルティも高くなる傾向があります。
ブランドエクイティを高めるには、以下のような方法があります。
生活者に対して、自社ブランドがどのような存在であるかを明確に伝えることで、ブランドイメージを一貫性のあるものにします。
例えば、ハーゲンダッツは高級感と贅沢さをイメージするブランドであり、ベン&ジェリーズはオーガニックやフェアトレードなど社会的価値観を重視するブランドとして認知されています。自社のブランドがどのようなイメージで認知されているかを明確にし、一貫したポジショニングを行うことで、生活者のブランドイメージを定着させ、エクイティを高めることができます。
自社のブランドを生活者にアピールするコミュニケーション戦略を実行することで、ブランド価値を高めることができます。
例えばスターバックスは、自社ウェブサイトやソーシャルメディアを通じて情報発信を行い、コーヒーの品質やフェアトレードや環境保護に対する取り組みなどを強調し、ブランド価値を高めています。店舗内でも、コミュニケーションを大切にし、コーヒー豆の産地やブレンドの特徴を説明したり、スタッフを「パートナー」と呼び、従業員の満足度を高めることで、ブランドロイヤルティの向上につなげています。
顧客にとって快適で、魅力的な顧客体験を提供することで、ブランドエクイティを高めることができます。
例えば、Apple社は、製品のデザイン性や使いやすさに注力し、顧客にとって魅力的な体験を提供しています。さらに、店舗のインテリアや接客方法にもこだわっており、顧客が店舗内で居心地の良い時間を過ごせるような環境を整えています。顧客が製品を購入するだけでなく、店舗での体験やサポートにも価値を感じることができる配慮がされています。
このように顧客がブランドに対して信頼感や愛着心を持つためには、製品だけでなく、その周辺のサービスや体験も重要なのです。
ブランドが社会的貢献を実践することで、生活者の支持を集め、ブランドエクイティを高めることができます。
例えば、パタゴニア社は、環境保護や社会的正義などの問題に積極的に取り組み、その姿勢が生活者に支持されています。自社のビジネスに対して、社会的責任を果たすことで、生活者の信頼を獲得し、ブランドエクイティを高めることができます。
以上のように、ブランドエクイティを高めるには、ポジショニングの明確化、コミュニケーション戦略の実行、顧客体験の向上、そして社会的貢献の実践が重要です。これらの手段を組み合わせ、自社のブランド価値を高め、生活者にとって魅力的な存在となることが求められます。また、長期的な視点でブランドエクイティを高めるためには、一貫した取り組みが必要であり、長期的な継続ないし改善を行うことが重要です。
ブランディングの評価は、アクセス数やクリック数、CVRといった広告やSEOの指標では測りにくく、数値化がとても難しいです。
考え方としましては、ブランディングの目的でもある認知度や好感度といった概念を定量・定性両方の観点で総合的にブランディングの評価を行います。評価する指標は「ブランド認知度」「ブランドロイヤリティ」の2つです。
ブランド認知度の測定方法は、以下のようなものがあります。
アンケート調査は、ブランド認知度を定性的に評価する方法です。アンケートには、自社ブランドに関する質問を設定し、回答者に回答してもらいます。回答結果を集計し、自社ブランドの認知度を把握することができます。
具体的な質問例
Q.「あなたが最近利用した○○のブランド名を教えてください」
Q.「○○といえばどんな商品やサービスを思い浮かべますか?」
Q.「○○の広告や宣伝を見たことがありますか?」
Q.「○○の商品やサービスを利用したことがありますか?」
Q.「もし○○の商品やサービスを利用した場合、どのようなニーズがあると思いますか?」
Q.「もし○○の商品やサービスを利用する場合、どのような特典が魅力的だと思いますか?」
また、調査方法としては、以下のような手法があります。
オンラインアンケート
インターネット上で行われるアンケート調査です。オンラインアンケートのメリットとしては、回答者が自分の都合に合わせて回答できるため、回答率が高くなる点が挙げられます。
モニター調査
あらかじめ登録したモニターに対してアンケートを実施する調査方法です。モニターは、商品やサービスのテストを行ったり、アンケートに回答することでポイントを獲得できるなどのメリットがあります。
店頭アンケート
実際に商品やサービスを購入する際に、店舗スタッフからアンケート用紙を渡される方法です。購入者にアンケート用紙を配布することで、購入者の意見を直接聞くことができます。店頭アンケートのメリットとしては、アンケート用紙を配布することで、回答率を高くすることができる点が挙げられます。
アンケート調査は、認知度だけでなく、ブランドイメージや顧客ニーズの把握にも有用な手法です。ただし、調査対象者の属性や数、調査設計によっては、調査結果に偏りが生じることがあるため、注意が必要です。
サイトへの新規訪問者数の測定は、ブランドに関心を持つ人々が、検索エンジンなどを通じて企業のWebサイトにアクセスする数を測定し、ブランド認知度を把握する方法です。
この測定方法は、定量的な評価方法であり、Google Analyticsなどのアクセス解析ツールを使うことで、実施することができます。具体的には、新規ユーザーの数、新規セッション数、平均セッション時間、直帰率などの指標を確認します。
また、この測定方法を活用することで、どのようなキーワードやコンテンツが効果的であるかを把握し、改善することもできます。例えば、特定のキーワードでのアクセス数が少ない場合は、SEO対策を見直すことで、アクセス数の向上を図ることができます。
サイトへの新規訪問者数は、広告などによって一時的にアクセス数が増加した場合、それがブランド認知度の向上につながるとは限らないため、アクセスの流入元には注意しましょう。
指名検索ボリュームの分析は、検索エンジンでの特定のブランド名を入力した回数をカウントすることで、そのブランドの認知度を測定する方法です。指名検索とは、ユーザーが特定のブランド名を直接検索することを指し、この指名検索のボリュームが増加すれば、そのブランドの認知度が上昇している可能性があります。
例えば、ある企業のブランド名が「ABC」という場合、Google検索で「ABC」というキーワードを入力して検索された回数が指名検索ボリュームとなります。これを定期的に集計し、比較することで、ブランドの認知度の変化やマーケティング活動の効果を把握することができます。ただし、競合他社のブランド名や関連するキーワードも含まれるため、正確な認知度を測定するためには、細かく分析する必要があります。
ソーシャルメディアのエンゲージメント数の測定は、ブランドの認知度や好感度を測るための指標の1つです。エンゲージメントとは、ユーザーがソーシャルメディア上で行う「いいね!」やコメント、シェアなどの反応のことを指し、これらの数を集計することで、ブランドのフォロワーの関心度や応援度合いを測定することができます。
例えば、TwitterやInstagramなどのソーシャルメディアプラットフォームにおいて、ブランドが投稿したコンテンツに対する「いいね!」の数やコメント数、シェア数などを集計し、その合計数をエンゲージメント数として算出します。エンゲージメント数が多ければ多いほど、そのブランドのコンテンツに対する関心度が高いと判断され、ブランド認知度の向上やファンの拡大につながる可能性があります。
また、エゴサーチを行い自社や商品の口コミを定性的にチェックすることも重要です。SNS上で自社や商品に関する投稿やコメントを収集し、その傾向を分析することで、ブランドの認知度やイメージを把握することができます。さらに、不満や問題点があれば、改善策を検討することも可能です。
ブランドロイヤリティとは、生活者が特定のブランドに対して持つ強い愛着や忠誠心のことを指します。ブランドロイヤリティの測定方法には、以下のようなものがあります。
特定の商品やサービスをリピートして購入する生活者の割合を調べることで、そのブランドに対する忠誠心の度合いを測定することができます。
顧客がブランドをどの程度お勧めしたいと思うかを尋ね、その得られた回答からNPSを算出する方法です。NPSは、生活者の満足度やロイヤリティを数値化することができる指標の一つで、高いNPSを維持することは、ブランドロイヤリティの向上に繋がります。
具体的には、以下の手順でNPSを測定します。
1.アンケート調査を実施し、顧客に「ブランドを友人や同僚にどの程度お勧めできるか」という質問を投げかけます。
質問例:当社の製品やサービスを友人や同僚にどの程度お勧めできますか
2.回答は、0から10までのスケールで答えます。0から6までが「批判的顧客」とされ、7から8までが「中立的顧客」とされ、9から10までが「促進的顧客」とされます。
例:25人にアンケートを実施した場合
回答者のうち、10人が9から10で回答(促進的顧客)
20人が7から8で回答(中立的顧客)
5人が0から6で回答(批判的顧客)の場合、
促進的顧客の割合は10 ÷ 35 × 100 = 28.6%
批判的顧客の割合は5 ÷ 35 × 100 = 14.3%
となります。
3.促進的顧客の割合から批判的顧客の割合を引いた値がNPSとなります。NPSが高いほど、顧客ロイヤルティが高いことを示します。
例:上記の結果の場合
28.6%(促進的顧客の割合)- 14.3%(批判的顧客の割合)= 14.3%となり、NPSは14.3となります。
NPSがプラスである場合、そのブランドの顧客ロイヤルティが高いことを示し、マーケティング施策の効果を確認するために使用されます。
注意点として、NPSだけで顧客の行動や評価を完全に表すことはできず、他の指標と併用することが望ましいです。
ここまで、ブランディングの重要性や成功例、ブランドを構築するステップ、ブランドエクイティを高める方法、そしてブランディングの評価と改善について解説しました。
では、小さな会社の視点からみてブランド力を高めることは可能なのでしょうか?時間も予算もかかりそうなので大手企業の話のように感じられますね。
結論的には、小さな会社でもブランド価値を高めることは十分に可能です。それは、小さい会社ならではのアドバンテージがあるからです。
例えば、地域密着型のサービスや製品を提供する場合、地元のコミュニティとのつながりを深めたり、オフラインでの広告戦略を強化したりなど、その地域のみなら大手企業に劣らないぐらいブランドロイヤルティを高めることができます。また、大手企業よりも素早く柔軟に、アイデアや施策を実行することができることも小さな会社の強みでしょう。
ブランディングを実践する上での鍵は、長期的な視点での取り組みです。ブランディングは、一時的なキャンペーンやプロモーションだけではなく、長期的な取り組みが必要であり、継続的な改善を行うことが求められます。
まずは、自社の強みやポジショニングの設計から取り掛かり、SNSを活用したコンテンツ制作や、コミュニティイベントの開催など、ミニマムな施策から実践するのが良いでしょう。
最後に、小さな会社がブランディングを実践する上で大切なのは、自社の強みや特徴を活かした独自性のあるアプローチを取ることです。大手企業にはない自社ならではの魅力を打ち出し、一貫性のあるメッセージで顧客の心をつかむことができれば、必ずブランド力を高めることができます。
株式会社toritoke代表/デジタルマーケティングの全体設計を得意とし、総計100以上のサイトと5,000本以上のコンテンツ制作に携わる。 新規事業や中小企業に特化したマーケティング戦略と実行支援をします。起業2年目のリアルな視点で、経営とマーケティング課題の解決策を発信中。