2023.09.17
新しい生活様式の一環として定着したリモートワーク。自宅やコワーキングスペースなど、会社以外の場所で業務を行う働き方です。近年、多くの企業が導入しましたが、一方で廃止する企業も出てきています。
しかし、働き方を重要視する人にとって、リモートワークは仕事を選ぶうえで欠かせない条件の一つです。
そこでこの記事では、リモートワーク普及の背景や廃止の理由のほか、私たちの暮らしに与える影響を解説します。これからの働き方について考えるきっかけになれば嬉しいです。
リモートワークは、働き方の選択肢として近年広く普及してきました。ここでは、リモートワークが普及した理由を、大きく5つに分けて解説します。
日本におけるリモートワークの歴史は、1984年に始まったと言われています。しかし、現在のように普及するきっかけとなったのは、2019年4月1日の働き方改革関連法の施行です。。
時間外労働の上限規制やフレックスタイム制の導入推進など、現在の働き方に通じる変革があったなか、リモートワークの導入も進められたのです。
2020年に入り、日本で新型コロナウイルス感染症の流行が始まったことで、リモートワークはさらに普及し、現在でも私たちの生活に定着しています。
経済産業省のデータも示すとおり、情報通信業や金融・保険業をはじめ、一部の業種で急激に普及が進みました。地震や台風などの災害発生時における事業継続という狙いも、定着の理由として考えられます。
社会の価値観や状況の変化によって、働く人々の働き方に対するニーズが多様化しています。ニーズの例として、育児・介護を行いつつ仕事も続けたい、場所や時間に捉われない働き方をしたいといった要望が挙げられます。
企業は、働き手のこうしたニーズをくみ取り、人材確保・雇用定着を目指してリモートワークを導入しました。
リモートワーク普及の背景には、DXが進んだことも挙げられます。書類を廃止し、データ化したことで、出社しなくても仕事が進む環境が整いました。
電子化が難しいと言われていた押印作業も、コロナ禍でリモートワークの実施が加速したことで電子印が普及し、今では多くの企業が紙の押印作業を廃止しています。
固定費削減の一環としてオフィスを手放した企業の存在も、リモートワークの普及に繋がりました。
オフィスの維持費、光熱費などのランニングコストが削減できるほか、オフィスを売却したり貸しに出したりすることで、企業は資金面で大きなメリットを得ることができます。
リモートワークを導入した企業がある一方、近年、廃止した企業もあります。ここでは、その廃止理由を4つ挙げて解説します。
コミュニケーションを重要視する企業は多く、感染症リスクの低下とともにリモートワークを廃止する企業が見られるようになりました。
顔を合わせたコミュニケーションには、社内の文化醸成や帰属意識向上に繋がったり、商品の企画やデザインのアイデアが生まれたりといったメリットがあります。また、新入社員にとっては、その会社の文化や社内の雰囲気を知る機会であるほか、質問しやすい環境となり成長機会が与えられます。
リモートワークでは、そのようなコミュニケーションの機会が不足することは避けられません。
オフィス以外の場所で働くことは、ハッキングやパソコンの紛失による情報漏洩のリスクがあります。そのため、オフィス以外での労働を禁じる企業もあります。
ただしこの問題は、セキュリティ対策ソフトの導入でリスク回避できる可能性が高いです。
企業が従業員の労働状況を把握できないことも、リモートワークを廃止する理由となっています。
企業は、いわゆる“サボり”がないよう管理するだけでなく、従業員を守るために超過労働がない環境を作る必要があります。そのため、目の届きやすい環境作りとして、出社を推奨する例が多くあります。
リモートワーク導入による生産性の低下を懸念する声も多くあります。しかし、経産省のデータによると、導入後も多くの業種で生産性が変わっていないことが分かりました。
また近年、アウトプット(アイデア・成果物)の質や量にこれまで以上にこだわり、評価・報酬を与える企業が増えています。
リモートワークによって私たちの働き方は大きく変化し、暮らしも変化しました。リモートワークを導入できる業種、できない業種はありますが、ここでは実際に、出社することなく働く私自身の経験も交えて、暮らしに与える影響を解説します。
これまで日本では、台風の日や真夏日でも出社するのが当たり前となっていました。首都圏ではどの電車も満員で、遅延することもよくあります。
こうした状況は働く人の身体や心に大きな負担を与えますが、出社の必要がなくなると、同時に通勤の負担もなくなります。
通勤時間がなくなることで、その時間を余暇にまわすことができ、ワークライフバランスの改善が期待できます。
例えば、スポーツジム通いや読書など、空いた時間の過ごし方を個人が好きなように決められます。学習や副業の時間に充てる人もいるかもしれません。
ただし、余暇ではなく仕事の時間を増やしてしまい、過重労働に陥るケースも考えられるので、その点には注意が必要です。
出社の必要がなくなれば、働く場所を自ら選べるようになり、地方や海外に住むことができます。実際に、テレワーク(リモートワーク)経験者の中で、地方移住への関心が高まった人が24.6%いるというデータも公表されています。
また旅先でも仕事ができるので、長期滞在も可能です。私自身も、旅先で仕事をする生活を2週間ほど送りました。
仕事と休みを明確に分けたい人は、両者の境界線が曖昧になると感じるかもしれません。しかし、長期旅行や移住を考える人は、リモートワークという働き方にメリットを感じるのではないでしょうか。
通勤がなくなることで、家事や育児、介護との両立がしやすい環境になります。私自身、高齢の両親と離れて暮らしていますが、実家に帰って両親の様子を見ながら働けることは、リモートワークという働き方のメリットであると感じています。
勤務先で、勤務時間帯が自由なフレックス制度が導入されていれば、自由度はさらに高く、プライベートと仕事の両立がよりしやすくなるでしょう。
これまでは働くうえで、オフィスへの出社が常識となっていました。コロナ禍を経てリモートワークが定着しましたが、企業側・従業員側双方にとって、出社・リモートワークのいずれもメリット・デメリットが考えられます。
そのため今後は、完全出社、あるいは完全リモートといった働き方ではなく、出社とリモートワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」が主流になると考えられます。
働き方を選べるハイブリッドワークは、私たちがより高い満足度を持って働ける仕組みとなるのではないでしょうか。
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