2023.09.22
コロナ禍を経てリモートワークが定着したことは記憶に新しいですが、企業の新たな課題を解決するため、そして従業員の働きやすさを実現するため、昨今はハイブリッドワークが主流となりつつあります。
ハイブリッドワークは出社とリモートワークを組み合わせた働き方です。ハイブリッドワークをすることで、従来よりも多様性のある働き方が可能となるため、働く私たちにとってより満足度の高い働き方が期待できます。
そこでこの記事では、ハイブリッドワークについて解説し、企業が導入するメリットや課題、導入事例を紹介します。
ハイブリッドワークは、出社して行うオフィスワークと自宅やコワーキングスペースなどで行うテレワークを組み合わせた働き方です。
働き方改革や新型コロナウイルスの感染拡大などを契機として、リモートワークという働き方が推進されました。そして、通勤の負担軽減、ワークライフバランスの改善などのメリットがあるとわかり、企業のリモートワーク導入が加速していきました。
しかし、社員同士がコミュニケーションをとる機会の不足や生産性低下への懸念といった新たな課題も生まれました。そして、完全リモートワークではなく適度に出社機会を設ける働き方を望む声の高まりを受けて、ハイブリッドワークが導入され始めました。
全世界39か国*にフレキシブルオフィスを展開するWeWork合同株式会社が、主にオフィス内で勤務している、従業員20人以上の企業に勤める1,400名に対しアンケートを行いました。その結果、一般従業員層700名のうち、2021年には48.0%、2022年には55.6%にハイブリッドワークが認められている結果となりました。 *2023年1月時点
本調査では過半数がハイブリッドワークを導入している結果となりましたが、現在ハイブリッドワークが認められていない一般従業員層のうち、42%以上がハイブリッドワークの導入を希望していることもわかりました。
この調査結果は、今後従業員の希望によってハイブリッドワークを導入する企業が増える可能性があることを示しています。
企業の従業員がハイブリッドワークの導入を求める一方で、ハイブリッドワーク導入の企業にとってのメリットとしてはどんなことが挙げられるのでしょうか。
WeWork合同会社が行った調査における経営者・人事・総務700名の回答によると、「働き方改革による柔軟な働き方の実現」「自由な働き方の提供による従業員の満足度向上」などが上位に挙げられています。
つまり、先進的な取り組みが対外的なアピールポイントとなって資金調達や優秀な人材の確保に繋がるほか、従業員の満足度向上によって離職率低下を期待できるメリットがあると言えます。
ハイブリッドワーク導入にはメリットだけでなく、課題もあります。
例として、コミュニケーションのとりづらさが挙げられます。完全リモートワークの場合、主なコミュニケーション方法はチャットツールや電話を使ったものになります。
完全出社の場合は直接会話をすることができるでしょう。しかし、ハイブリッドワーク導入後は、日によって出社メンバーが変わることがあり、コミュニケーション手段が多岐にわたるため、煩雑化したり誰に伝えたかわからなくなったりするといった問題が出てきます。
勤怠管理をする側にとっても、いつ誰が出社するのか、あるいはリモートワークをするのかを把握するのが難しくなることも考えられます。
常に出社する人がいる一方で、常にリモートワークをする人もいる環境では、それぞれの評価基準もあいまいとなり、結果として従業員が不公平感を持つことにもなりかねません。
ここからは、ハイブリッドワークを導入している企業のうち、主な3社を紹介します。
通信教育や出版事業などを行う株式会社ベネッセコーポレーションでは、2020年2月からハイブリッドワークを含めた新しい働き方に対する施策を実施しています。
コロナ禍での自宅勤務による勤怠報告の煩雑化解消のため、独自の勤怠共有ツールの導入をはじめとしたインフラ整備を進め、在宅勤務手当の支給を行うなど、自社の状況に応じた対策で従業員の働きやすさに繋げています。
事務機器や光学機器などを製造する株式会社リコーでは、2020年3月から新型コロナウイルス対応として在宅勤務を最大限活用し、2020年10月からはハイブリッドワークの実施を促進しています。
この“新しい働き方”への以降に伴い、首都圏オフィス拠点を再編して最適化をはかったほか、対外的にもハイブリッドワークの実施を促進する姿勢を示しています。
たとえば、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催中に実施された「テレワーク・デイズ2021」に参加し、交通混雑緩和や新型コロナウイルス感染拡大の防止に貢献しました。
コンピューターやアプリケーションソフトなどを製造する日本マイクロソフト株式会社では、リモートワークと出社によるオフィスワーク、それぞれの長所と短所を柔軟に組み合わせた多様性のある働き方を目指し、オフィス改修プロジェクトを立ち上げてハイブリッドワークに適したオフィスへと改修しました。
具体的にはコミュニケーション・コラボレーションが自然ととりやすくなるオフィス設計、オンラインミーティングを行うためのブースやデバイスの設置が行われ、これまでのリモートワークやハイブリッドワークで得られた気づきが反映されています。
完全出社が通例となっていたこれまでの働き方から、コロナ禍の在宅勤務を経て、さらに進化したハイブリッドワークという働き方が誕生しました。
ハイブリッドワークは、現在私たちにとっても企業にとっても多様な働き方ができる選択肢のひとつとなっています。また今後、社員それぞれが高い満足度を持って働ける環境の実現に欠かせないワークスタイルとなっていくのではないでしょうか。
リモートワークについては、こちらの記事で解説しています。ぜひ、あわせてご一読ください。
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