【SDGs目標10】人や国の不平等をなくそうについて。不平等のない世界を当たり前に|circu.(サーキュ)

2021.06.20

【SDGs目標10】人や国の不平等をなくそうについて。不平等のない世界を当たり前に

ニュースで度々報道される黒人差別やコロナ禍で悪化しているアジア人差別。LBGTQ(セクシュアルマイノリティ)への理解不足による障がいを持つ人への偏見。ニュースを見て心を痛めている方も少なくないのではないでしょうか。しかし、不平等はニュースの中だけの出来事ではなく、身近で起こっているのです。

SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」について考えてみませんか。それぞれの個性を否定するのではなく、認め合い、協力し合い不平等がない世界を当たり前にしていきませんか。

SDGsとは

SDGs(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、日本語で訳すと持続可能な開発目標。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標です。2015年9月の「国連持続可能な開発サミット」で国連加盟国の全会一致で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されており、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。

SDGs 17の目標とSDGsの特徴

SDGsは17のゴールと169のターゲット、230の指標から構成され、互いに影響し合っています。

SDGsの成功には、グローバル、国家、地域、地方で、すべての人々やステークホルダーによって行動に移すことが重要です。

目標10 「人や国の不平等をなくそう」

SDGsのざっくりとした概要がわかったところで、今回はSDGsの目標の中の10番目、「人や国の不平等をなくそう」とはどのようなものなのかお話したいと思います。

目標10は表1にある10のターゲットから構成されており、差別的法律、政策や慣行の撤廃や球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大など国内外での社会的、経済的、環境的不平等をなくすことを目標としています。

こちらの動画ではSDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」についてアニメーションでわかりやすく紹介されています。

目標10 「人や国の不平等をなくそう」を構成する10のターゲット

10.1
2030年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。

10.2
2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。

10.3
差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、並びに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。

10.4
税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。

10.5
世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。

10.6
地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。

10.7
計画に基づき良く管理された移民政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。

10.a
世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。

10.b
各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資金の流入を促進する。

10.c
2030年までに、移住労働者による送金コストを3%未満に引き下げ、コストが5%を越える送金経路を撤廃する。

SDGs目標10、ターゲット10-2について考える

ターゲット10-2は、年齢、性別、障害、人種、民族、生まれた場所、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々に能力強化、および社会的・経済的・政治的活動への参画機会が平等に与えられることを促進することを目標としています。

このターゲットに書かれているのはよくマイノリティ(少数派)と呼ばれている人たちではないでしょうか。そこで、マイノリティと不平等の関係について考えてみたいと思います。

マイノリティと不平等

多数決という意思決定があるように、マイノリティよりマジョリティ(多数派)の方が正しいといったような雰囲気が日本は特に強いのではないでしょうか。

令和の時代になり、ようやくダイバーシティ(多様性)を認めようという流れも動き始めてはいますが、どちらかというとマイノリティな私自身が感じている社会の雰囲気はまだまだ無意識の差別や不平等に溢れています。

どうして不平等が起こるのか、不平等を感じるのかと考えた時、それは自分と違うタイプの人への理解がないことや、知らないことへの恐怖から生まれると私は思います。

しかし、マイノリティとは環境によって変化することもあります。例えば、女子校では男性教員がマイノリティ、私の経験をお話すると、パラスポーツ競技団体で働いていた時は、チームの中にいる私はマイノリティ。

自分はマイノリティにもマジョリティにもなり得るし、どちらが正しい、間違っている、良い悪いということはないのです。誰もカテゴリーではなく、一人ひとり違った個人であり、お互いを理解する気持ちや機会を増やしていくことで、不平等はなくしていけるのではないでしょうか。

ダイバーシティ社会への取組

不平等が生まれる知らないことへの恐怖をなくす方法は、知る機会をつくることだと思います。例えば、障がいについて。私は過去に車いすユーザーには誰でも無条件に親切にしなくてはと思っていました。今思えば、それは私と同じことはできないという固定観念で、一種の差別であったかもしれません。

しかし、パラスポーツに出逢い、車いすユーザーと接する中で、できることは自分自身で、できないことは自分から周りの人に「手伝って」という。当たり前のことを当たり前にしていて、自分と何ひとつ変わらないと知りました。この気づきに喜びを感じたことを今でもはっきりと覚えています。

知ることによって気づきが生まれる機会をつくる取組が競技団体、自治体や企業によっても行われています。

一般社団法人日本車いすバスケットボール連盟の取り組み

車いすバスケを通じて、共生社会の実現に貢献することを目的として、個性を尊重して認め合い、固定観念にとらわれない心のバリアフリーを目指して全国の学校等で体験会を実施しています。

千葉市:パラスポーツの取り組み

障がい者が身近な地域でスポーツを楽しむことができる環境を整備し、多くの市民に体験会やパラスポーツ大会の観戦を通じて、パラスポーツファンの拡大を図ることにより、障がいのある人もない人も共にスポーツを通じて交流できるまちづくりを推進しています。

TEAM BEYOND|TOKYOの取り組み

企業・団体のパラスポーツへの様々な関わり方、支え方について参考となる取組事例や支援方法を紹介しています。ボランティア、アスリート雇用、協賛、体験会などパラアスリートと関わる機会が生まれることで、社員の意識の変化や企業としての成長にも繋がる取組が実施されています。

不平等がない世界を当たり前に

今回はSDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」について、パラスポーツの事例を中心に紹介させていただきました。

不平等をなくすには、まず相手を知り、個性を認め合うことが重要だと思います。このフレーズを使わなくてよい、当たり前にお互いを認め合える平等な世界に向かって、みなさんも一緒に心をバリアフリー化していきませんか。

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